📚ふだんづかいの倫理学 メモ

20240322

  • 第1章 倫理とは何か
    • 倫理、道徳というのは、人間の生き方や行為についての価値規範のこと。
    • 空気のようなもの。普段意識されないが、ないと生きていけない、人間としてまともに生きていけない。
  • 第2章 倫理学とは何か
    • 人によって価値観は違う。からこそ、倫理学は必要。
    • 価値の問題は選択肢が無数にあるからこそ、仕方ないでは片付かない。からこそ、それを整理するために倫理学は必要。
    • 倫理学・道徳は、押し付けではなく理由があって「〜〜べき」と語られる。その理由が抜け落ちて、必要なものとそうとは言い難いものがごっちゃになってる。からこそ、倫理学にて理由をちゃんと説明することが必要。
    • 必要以上の「〜〜べき」から、ほんとうに必要なものに絞り「〜〜べき」を少なくする。かつ、理由を明らかにすることで、自分の意思でそれを受け入れるか否かを決めることができるようにする。この二重の意味で、倫理学は人を自由にする。
    • 倫理学は、それを学ぶことで何か特定のことができるようになるわけではないが、何かやるときには人間が関わるので、その場面で倫理が必ず必要になる。このような独特の役立ち方をする。
      • 倫理のない医者、倫理のない設計士などには仕事を任せたくないように。
    • 倫理学にも答えはあるが、抽象的な、人間だったらみんなに当てはまるようなもの。
      • 「具体的な倫理の知識」なんて「丸い正方形」みたいなもの。
    • 一般に倫理・道徳と呼ばれているものには具体的なものも抽象的なものもあり、様々。こうしたものを整理しようとするのが倫理学。
      • 整理した結果でてくるのが、倫理の原理。できるだけ明確で一般的な形を目指したもの。
    • 運命のボタンの思考実験より
      • 押す、押さないの心理の問題ではなく、押してよいか、いけないかという道徳規範の問題が対象。
      • 運命のボタンでは、相互性という道徳の規範原理が当てはまる浮き彫りに。
        • 自分の権利を認めてもらうためには、他の人の権利も認めなければ泣かない
      • みんなに納得できる理由を挙げることで、基本原理が見つかる。
  • Ⅲ章 倫理学の方法
    • 倫理学研究のやり方の基本は、
      • 道徳的だと思われるいろんな価値判断をまとめて整理する
      • 一種のルール的なものにななっていることがわかる(道徳的な規範)
      • さらにまとめると、倫理の基本原理的なものがでてくる
        • 基本原理に基づいて、規範が適切かどうか判定したり、理由付けする
      • 倫理の原理が、道徳的規範やその場の判断を支える理由となる。
    • 基本のやり方は、手間がかかるし、どこまで突き詰めたらいいかもわからない。ゆるいところでおしまいにしたら多くの原理が存在。突き詰めると1つや2つにできるかもしれないが、それで全部かは心許なくなる。
    • 倫理学の研究のもう一つの方法は、はじめにどーんと原理を決めてしまう方法。
      • たとえば、功利主義。出発点を「人間は全て快を求め、不快を避けようとする」と定め、できるだけ多くの人ができるだけ多く幸福であるように、つまり、快の総和が最大になることを重視する、「最大多数の最大幸福」を原理とする。この一つだけ。
      • このような唯一原理主義の弱点は、当てはまらない場合が出てきてしまうこと。
        • 功利主義では、出発点を快・不快で置いてるので、そもそもそれで量的に測れるとされるものにしか当てはめられない。
    • 基本の、まとめて整理する方法でも、はじめにどーんと原理を決める方法でも、当てはまるものと当てはまらないものは出てくる。
      • 徳倫理学は、30という多くの原理を認めるがゆえに広い対象に柔軟に対応できる。が、多くありすぎて収拾がつかなくなりがち。
      • 功利主義は一つにしてわかりやすいが、対象が狭くなっている。
        • 原理を少なくすると、対象は狭くなる。常にそのせめぎ合いの中にある。
        • 基本原理を定めるには、倫理というものをどう考えるか、どんな観点から考えるか、その観点が大事。まず、どういうところからそれを見つけるのかを決めておくことが大事。
  • パート1 社会の倫理:正義
    • デスノート、夜神月は正義か?
      • 反対派も賛成派も、「罪に対して罰を与える」点では一致。
    • 正義とはつまりは「釣り合いをとる」ということ。
    • 個人がその釣り合いをとることは不可能に近い。ゆえに、個人で裁く夜神の行いは正義とは言い難い。
    • 正義は一人の個人では決めることはできず、社会の仕組みが必要である。
    • 罪に対して罰を与えるパターンの正義は、「調整の正義」。司るのは法。
    • 等価交換は、「交換の正義」。このあげるのともらうのに釣り合いを取る仕組みが、お金。司るのが経済。
      • 正義は経済にもかかわる。
      • 交換の正義は当人だけの同意は必要ではあるが、十分ではない。
        • 売春も臓器売買もオッケーになってしまう。
      • 一定の制限という、社会の仕組みが必要。
    • 「分配の正義」は、社会全体と個々人の関係。税金がわかりやすい例。司るのは、政治。
      • 「一律に同じだけ」と「それぞれの人に応じて」という方法がある。
    • 正義には、なぜその釣り合いになったのかきく権利があり、聞かれた方はそれに答える義務がある。
  • パート2 個人の倫理:自由
    • 何も制限がないと自由と感じ、制限があると自由じゃないと感じる。が、何も制限がないことは自由?
      • 制限がないと、相手を傷つけることも自由に含まれる。で、相互性の原理から、それは自分が傷つけられることも自由になってしまう。
      • 「万人の万人に対する戦い」状態。
      • 自由なはずが、いつ傷つけられるかわからない状態で過ごさなければならず、これは不自由そう。
      • 自由の確保には、制限が必要。自由と制限はセット。
        • 消極的自由。
    • 消極的自由は、他の人や社会からの自由。では、積極的自由は?
      • 自分への自由?
        • 自律が、積極的自由の中身。
      • 自分を律し、「自分がよく生きる」ために、自分の生き方の原則を自分で作りだすこと。
      • 自律は、自分で自分に課す制限とも言える。
        • 自分を確立するため。
      • 個人は有限な存在だから。
        • すべてをできるわけではない。
      • 求めているのは、「幸福」。
        • が、幸福がなんなのかは知らずにそれを求めている。
        • 幸福は、それぞれの人のものであり、それぞれの人が自分で見出して、自分で決めるのが望ましい。
          • choiyakiというか、決めないと幸福であるか怪しいよね。
      • 積極的自由を使って定めるべきは、自分にとってどのように生きれば幸福なのか。
      • 幸福という観点で見ると、
        • 正義は不幸に陥るのを防ぐもの。
        • 自由(積極的自由)は、自分にとっての幸福は何か定めること(からスタート)。
      • 幸福を実現するためには、身近な関係が大事になってくる。
        • 愛。
  • パート3 身近な関係の倫理:愛
    • 考えるのは、「愛はどうあるのが望ましいか」。
      • 倫理学の基本スタンス。経験から愛を考えるのではなく、愛の理念を考える。
    • まず、愛とは、何ではないか。
      • 恋愛だけではない。
      • 気持ちだけで成り立つものではない。
      • 一方的ではなく、相互的。
      • 不安定なものではない。
    • 友情型と恋愛型
      • 友情は共通点があるから、恋愛は異質だからこそ結びつく、という分類。
        • 共通点は共同性、異なっている、異質なパターンは相補性と呼ぶ。
      • 友情に代表される「共同性の愛」、恋愛を含む「相補性の愛」。
      • 愛は、かけがえがない相手。
        • 正義は「みんな同じ」がベース。それに対して愛は特別視する。かけがえのなさが重要。
      • 愛は、見えない。
        • 第三者からはわからない、見えない。本人たちにとってかけがえがないか、が本質。
      • 相補性の愛は、お互いにであり、安定的であった方が望ましい。
      • 共同性では、結びつけるものは内部にあるタイプこそが友情と呼ばれるもの。
        • 外にある、つまり共通の利益がある場合は、友情ではない感じがする。
      • 内部にある共同性は、もはや相補型に近しい。
        • それぞれがもっている、相手にとって大事なもの。
    • 相補型の特徴は、お互いに違っていてお互いの役割をとりかえられないという点。
      • そう考えると、親子は相補型。
    • 2種類の相補型
      • 横の相補型…恋愛
      • 縦の相補型…親子
    • きょうだいは、共同型。しかも、横の共同型。
      • では、縦の共同型は?
        • 会社の上司部下、部活の先輩後輩、など。
        • 愛、まではいかないにしろ、身近な関係であることは間違いない。
    • 身近な関係
      • 横の相補型…恋人、夫婦
      • 縦の相補型…親子、師弟
      • 横の共同型…きょうだい、友達、コミュニティ
      • 縦の共同型…部活、上司
    • 個人、身近な関係、社会が、互いに関係し合ってる。トライアングル。
  • インターミッション2 倫理のケーススタディ
    • 倫理の基本原理
      • 個人…人によって違っていい。
        • 自由
          • 消極的自由
            • 他人、社会からの自由。
          • 積極的自由
            • 自分への自由。
      • 社会…釣り合いをとる。人によって違っていては困る。みんなに共通。
        • 正義
          • 調整の正義
            • 罰則など。
          • 分配の正義
            • 税金とか。
          • 交換の正義
            • 経済。
      • 身近な関係…人によって違うが、相手や仲間がいるので、自分だけでは決められない。
          • 横の相補愛
            • 恋人。
          • 縦の相補愛
            • 親子。
          • 横の共同愛
            • 友達。
          • 縦の共同愛
            • 会社、部活。
      • 倫理の基本原理を思い出すことで、間違いを防げる。
        • 今は社会の基準で見ないと、と。
    • 人生の解釈学。
      • 自分たちが普段やっていることを倫理の基本原理をもとに解釈することができる。
      • 結婚(契約)と横の相補愛の違いは、交換可能かかけがえのない存在か。
      • お金で愛は買えるか?
        • お金で買えない交換不可能なものを愛と定義。
        • 結婚は契約関係。結婚しているからと言って愛があるとは限らない。
  • パート4 攻めの倫理!
    • 攻めの倫理と守りの倫理。
      • 正義に代表される、消極的な守りの倫理。必要条件。
      • 自律(積極的自由)に代表される、攻めの倫理。十分条件。
      • 子どもを産む人からしたら、幸せの追求だとしたら攻めの倫理。が、子どもから見たら、親子関係はそもそも親がいないと生きていけない点で守りの倫理。
      • ケアは、ケアする側とされる側がいるので、相補型。縦か横かは意見が分かれるところ。
        • choiyakiこれは、関係によって変わってきそう。
      • 横の相補型は攻めの倫理。愛や結婚は幸せを追求してのこと。
      • 医療は社会的。交換の正義の範疇、と言える。が、単なるサービス業でもない。同等な者同士ではないから。縦の相補型、とも言える。さらには、インフォームドコンセントが導入され、横の相補型の面も。さらにさらに、医療費のかなりの部分はみんなで負担してるので、分配でもある。
        • いくつかの面が重なって現れてくることがあるので、自分に見えている面だけ正解と思わず、他の面を見抜くこと大事。
    • 横の共同型は、友人がいなくても、自立して自律して生きることが前提であれば、不可欠ではないと言えるので攻めの倫理。が、孤独に耐えれるほど強くはない。
      • 地域のコミュニティも横の共同型と言えるが、これはどちらかといういと守りの倫理。支える側の倫理。
      • 支えてもらう側からは守りの倫理でも、そこでの活動を生き甲斐にしている人も中には。その人にとっては攻めの倫理。
        • どちらの側面もあるということ。
        • choiyakiコミュニティナースは、この地域コミュニティでの守りと攻めを繋ぐ活動ではないか。で、攻めと守りはどっちも必要なのがコミュニティなので、その活動は重要であるのではないか。
        • 分類のどれかに完全にハマる、というものではなく、両面を持ち合わせていることも、グラデーションであることもある。
    • 縦の共同型は、多分攻めの倫理。
      • 縦の共同型は、会社に代表される、共通の目的のために組織された集団。1人で達成できないことを達成するための組織。
      • ただ会社は、縦の共同型の側面だけではなく、同僚とは横の共同型。が、組織自体は縦で、拡大することが可能。
        • 拡大は横ではあまり必要でないが。
      • 会社という組織自体が一つの主体である、と言える。組織として、一個人的。なので、そこに倫理が求められる。倫理的な主体であることが要請される。
    • 社会における倫理は、正義。守りの倫理。では、攻めの倫理は?
      • 功利主義。最大多数の最大幸福。結果を重視。
        • 功利主義の弱点は、結果重視で、結果を客観的に計る必要がある。また、幸福の追求と言うよりも、苦痛がなくて快適であることを目指す。その点で守りの倫理と言えなくもない。
        • 他の弱点としては、幸福度の総和を最大化することを目指すと、格差が広がってでも総和を求める考え方(総和主義)があり、格差社会の肯定につながり、正義(調和を保つこと)とのコンフリクトが起こる。
        • 功利主義が使えるのは限定的で、目的がかなりはっきりしている場合に限られる。何が大事なのか人によって違うような場合には、功利主義はあまり役立たない。
      • 個人の問題か社会の問題か決めかねるところに、政治が必要になる。倫理的な判断が難しいところに。
    • 守りの倫理は倫理学的に確定しやすいが、攻めの倫理は確定しにくい。社会の中でそういう問題について決める必要があるなら、政治的な決定になる。
      • 正義にも現れてる。交換の正義はわざわざ正義と言わなくてもいいくらい自然。が、調整や分配の正義はそうではない。
      • 政策として攻めの倫理もある。
        • アファーマティブ・アクション
      • 積極的に不利な立場の人を優遇。
        • 慎重にならないと、逆差別にもつながる。
    • 正義では、できるだけ正確にバランスを取りたい。が、人間の能力には限界がある。しかも、完全な正義の実現は不可能。
      • 殺人犯を殺しても、殺された人は帰ってこないように。
      • 完璧な正義を求めると、宗教的なものを求めることに。
        • 完璧な存=神が、完璧な正義を実現してくれる、と。
      • 我々人間が正義を実現するからこそ、宗教に頼らないからこその倫理学。
    • 自由は、積極的自由が攻めの倫理で消極的自由が守りの倫理。
      • 他者からの自由が消極的自由、自分への自由が自律。では、他者への自由や、自分からの自由は?
        • 他者への自由は不確定義務。
          • 努力目標。必ず守らないといけないというわけではない、できたらいいよね、というもの。
          • 攻めの倫理。
        • 自己からの自由は、超義務と呼ばれる。
          • 不確定義務の中の、やったらチョーすごいというもの。
          • ボランティアとか。無償の愛とか。
            • 倫理を超えたもの。倫理的ではないもの。